3Dマッピング 緊急時対応用高速マッピングソフトウェア「PIX4D react」ってどれくらい速いの?
・はじめに
PIX4D社が提供する高速マッピングソフトウェアPIX4D reactはドローンで空撮した空中写真をすばやく2Dマップを作成することが可能です。これにより災害現場や事故発生時の情報収集をより迅速に行うことができるようになります。 今回はこの高速処理が特徴のPIX4D reactと同じくPIX4D社が提供しているフルサイズの航空写真測量用ソフトウェアPIX4D maticの2つを「どの程度の速度差があり、実務で使えるのか」を確認するために比較しました。
・計測データ
今回、比較用データとして小型ドローン「DJI Mini 3 Pro」で撮影した湖岸のデータで、垂直写真と斜め写真を合わせて98枚を対象としました。

・データ処理
処理時間の比較にはノートパソコンとデスクトップPCの2種類の機材を使いました。
スペックは以下の通りです。
【ノートパソコン】
プロセッサ:12th Gen Intel(R) Core(TM) i7-1255U (1.70 GHz)
実装RAM:16GB
GPU:Intel Iris Xe Graphics・NVIDIA GeForce MX550
【デスクトップPC】
プロセッサ:AMD Ryzen 9 7950X 16-Core Processor (4.50 GHz)
実装RAM:128GB
GPU:NVIDIA GeForce RTX4060Ti・AMD Radeon Graphics
ノートパソコンでPIX4D react処理を行った際の動画
・処理時間および成果の比較
それぞれで処理を行ったところ、次の表のような結果になりました。

ノートパソコン、デスクトップPC共に処理時間の短縮が見られましたが、短縮効果はノートパソコンの方がはるかに大きいことがわかります。
出力画像を見比べると次の通りです。 なお、PIX4D reactはJPGなどの容易に扱える画像形式で出力できる一方で、PIX4D maticはTIFF形式(高品質な画像形式)で出力されるため、一般的な画像ビューアでは扱いにくい場合があります。

PIX4D react PIX4D matic
全体像では合成画像作成範囲の外縁が直線的なこと以外はさほど差が感じられません。 しかし、詳細を確認するとその精度には明確な差が確認できます。次は中央やや下の石垣とガードレール付近を拡大したものです。

PIX4D react PIX4D matic
PIX4D reactは直線のはずの石垣やガードレールが波打ってしまっている一方で、PIX4D maticは正確に直線で表されています。
これはデータ処理方法の違いによるものです。PIX4D reactがモザイクと呼ばれる三次元モデルを作成せずに直接合成画像を作成する方法をメインで行う一方、PIX4D maticはオルソ処理と呼ばれる三次元モデルを作成した上でそれにモザイク画像を合成して合成画像を作成します。
これがPIX4D reactの処理が大幅に時間短縮できている主な理由で、逆にPIX4D reactの合成画像がPIX4D maticと比較するとやや見劣りしてしまう所以です。
しかし、緊急時に現地の概要を把握する用途ならば十分な品質を持っていると思われます。
結論として、PIX4D reactは処理速度を重視する用途に適しており、PIX4D maticは精度を重視する用途に適しています。
・PIX4D reactはどんな用途に向いているのか
PIX4D reactはフルサイズの航空写真測量ソフトウェアと比較すると非常に短時間でマップ生成(画像生成)が可能です。特にスペック面で見劣りするノートパソコンで差が大きいです。
速報として簡易的なものでも平面図として使える現況写真が必要となる緊急時に使いやすい製品と言えます。