3Dマッピング チルト補正が当たり前になる時代 ― Reach RS3が変えるGNSS測量の現場
GNSS測量では長年、「ポールは必ず垂直に立てるもの」という前提がありました。
水平器を確認し、足場を整え、慎重に据え付ける。
この作業自体は当たり前ですが、現場によっては大きな制約になることも少なくありません。
【チルト計測】
例えば、構造物の角、壁際、樹木の下、金属柵の近く。
「測りたい点はそこにあるのに、ポールが立てられない」
こうした経験は、多くの測量技術者が一度は感じたことがあるのではないでしょうか。
Reach RS3は、IMU(慣性測定ユニット)によるチルト補正機能を搭載したGNSS受信機です。
最大60度までポールを傾けた状態でも測位が可能で、「垂直に立てられないから測れない」という場面を大きく減らします。
これまで回避していた計測や、やむを得ず妥協していた計測を、本来の位置で行える。
その意味でReach RS3のチルト補正は、測量の考え方そのものを変える技術と言えるかもしれません。
基準点観測において、意外と時間を要するのが設置作業です。
水平器を確認し、微調整を繰り返し、安定を確認する。
Reach RS3では傾斜したまま測定できるため、こうした工程を大幅に簡略化できます。
1点あたりの短縮時間はわずかでも、点数が増えれば現場全体の作業時間に確実な差が生まれます。
Reach RS3のIMUは工場出荷時に個別校正されており、現場での煩雑なキャリブレーション作業は不要です。
また、磁場の影響を受けにくく、金属構造物の近くでも安定したチルト補正を実現します。

傾斜補正のキャリブレーション自体も短時間で完了するため、現場に到着して計測点まで移動している間に準備が整います。
「意識しなくても正しく動く」という点は、日常的に使う測量機器において非常に重要な要素です。
Reach RS3は、GPS/QZSS、GLONASS、BeiDou、Galileoといった複数の衛星測位システムに対応しています。
マルチ周波数受信により、約5秒以内の高速FIXが可能です。
また、RINEX形式での生データ記録にも対応しており、RTK観測だけでなく、後処理による基線解析やPPP解析といった運用も選択できます。
「現場ではRTK、必要に応じて後処理」
こうした柔軟な使い方ができる点も、実務をよく考えた設計と言えるでしょう
内蔵LTE、Wi-Fi、Bluetooth、LoRa、UHFといった多様な通信方式に対応し、現場条件に応じた補正情報の受信・配信が可能です。
RS3自身をNTRIP基地局として運用することもでき、機材構成の自由度は非常に高くなっています。
バッテリーはRTK観測で最大18時間稼働し、計測中のUSB Type-C給電にも対応。
長時間作業においても、運用を止めることなく測量を継続できます。

【ソフトウェアまで含めて“測量機器”】
Reach RS3は、ハードウェア単体ではなく、
制御用スマートフォンアプリ「Emlid Flow」、クラウド型計測管理ソフトウェア「Emlid Flow 360」、PC用デスクトップソフトウェア「Emlid Studio」といったソフトウェア群と組み合わせて使用することを前提に設計されています。
現場、オフィス、後処理までを一つの流れとして扱えるため、
「測ったあと」まで含めて考えられたGNSS受信機だと言えるでしょう。
【おわりに】
チルト補正は、もはや特別な機能ではなく、現場効率を左右する“前提条件”になりつつあります。
Reach RS3は、
・測れない場所を減らし
・設置作業を減らし
・測量の流れを止めない
そんな思想を形にしたGNSS受信機です。
日々の現場で感じている「ちょっとした不便」を確実に減らしていく。
その積み重ねが、測量の質と効率を着実に変えていきます。